賃貸物件で申し込み後のキャンセルは可能?違約金は必要?

賃貸 申し込み キャンセル

賃貸で良いお部屋を見つけて申し込みを行ったけど、やむを得ない理由でお引越しができなくなった場合、申し込みはキャンセルできるのでしょうか?

今回は、賃貸物件での申し込み後のキャンセルと違約金について詳しく解説していきます。

契約前であれば申し込みのキャンセルは可能

結論から言うと、賃貸契約を結ぶ前であれば法的に申し込みのキャンセルは問題ありません。そのため、重要事項の説明を受ける前であり、かつ賃貸借契約書にサイン・捺印をしていない状態であれば、申し込みをキャンセルできます。

重要事項の説明とは、契約前に行う不動産に関する権利関係や取引条件等についての説明のこと。

賃貸物件の契約は、重要事項の説明と賃貸借契約書を交わして初めて成立します。例え、初期費用や申込金を支払っていても、契約前であれば、キャンセルしても違法にはなりません。支払っていたお金も、キャンセル後に手元に戻ってきます。

一般財団法人不動産適正取引推進機構では、賃貸での申し込み後のキャンセルについて、以下のような回答をしています。

アパート・マンション等の賃貸借に関するもの
【その2 賃貸借契約等に係る問題】

Q3 今度1人暮らしを始めようと思い、気に入ったアパートが見つかり来週契約することにしました。詳しい説明は受けていませんが、不動産屋から事前に敷金等を振込むように言われて振込みました。しかし、親が急に入院することになり、不動産屋に契約できないと連絡したら「違約金として家賃の1か月分を差し引きます」と言われました。違約金は払わなければならないものでしょうか。

A3 契約が成立しているかどうかで、返還される金額は変わってきます。重要事項説明も受けて、借主が契約書に押印し、貸主も契約締結を承諾している状況で、敷金等を振込んでいれば、契約は成立していると思われます。その場合には、契約に従い、敷金等の清算が行われます。ご相談の内容ですと、重要事項説明も未実施であり、契約締結前の申込みの段階と考えられます。宅建業法では、宅建業者は取引の相手方が申込みの撤回を行った場合は、受領した預り金を返還しなければならないと規定しています(宅建業法47条の2第3項)ので、今回のように申込みの段階であれば自己都合で撤回しても、違約金は発生しませんし、不動産業者は、預かった敷金等を全額返還する必要があります。

引用:一般財団法人不動産適正取引推進機構

裏を返すと、契約の段階まで進んでしまっていればキャンセルすることは難しいということです。契約後のキャンセルでは、一般的に違約金が発生します。

違約金の金額は契約書類に記載されている場合がほとんどなため、必ず確認をしておきましょう。

賃貸の契約前キャンセルの事例

上記で説明した通り、契約前であれば法的に申し込みのキャンセルは問題ありません。しかし、中には契約前でも違約金が発生するケースもあります。

以下の判例は、賃貸の申し込みを行った借主(予定者)が契約直前でキャンセルをし、契約までに発生した準備費用・損害金等を貸主に請求されたものです。結果として、借主(予定者)は契約準備段階における信義則上の注意義務違反があると判断され、生じた損害の一部を賠償することになりました。

東京高判 平成20年1月31日 金融・商事判例

賃貸借契約の成立を予定して折衝が続けられ、賃貸人が契約の成立を信じて行動することが賃借人に容易に予想されるに至ったが、契約の成立に至らなかった場合の賃借人の過失が認められた事例

不動産業者の一審原告が、一審被告に対し、主位的に、事務所の賃貸借契約が成立したにもかかわらず入居しなかったとして、予備的 には契約締結準備段階に入ったのに正当な理由なく契約締結を拒絶したとして損害賠償を 請求した事案の控訴審において、主位的請求 については、賃貸借契約は成立に至っていないとし、また、予備的請求については、契約条件がほぼ確定した時点までに、一審原告が 契約締結に強い期待を抱いたのは相当の理由 があり、一審被告には、信義則上、その期待を故なく侵害することのないように行動する義務があり、その注意義務違反があったとして、契約締結上の過失を認めたが、原判決には一審原告の主張を超えて損害額を認めた違法があるとして、一審原告の控訴を棄却し、 一審被告の控訴を認め原判決の一部を変更した。

引用:一般財団法人不動産適正取引推進機構

やむを得ない理由でキャンセルする場合は、早めに相談しよう

賃貸借契約が成立していなくても、上記判例のように信義則上の損害賠償責任を負う場合があります。この事例にように、賃貸で裁判まで問題になるケースは稀ですが、注意は必要です。

法的に契約前のキャンセルは問題ないとされているものの、大家・管理会社・不動産仲介業者・保証会社と、申し込み後はたくさんの方が関わってきます。契約直前のキャンセルになればなるほど、こういった方々の入居のために準備してきた労力が、全て無駄になってしまいます。

やむを得ない事情でキャンセルをする場合には、なるべく早い段階で不動産会社に相談するようにしましよう。

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