【賃貸】敷金・原状回復のルールが2020年に法律として明文化?

敷金 法律

部屋を退去する際には、借りた部屋をもとに戻す義務が生じます。これを原状回復と呼びますが、その際に支払う原状回復費用は敷金から充当されます。

この原状回復と敷金について、実は法律で明確な定義がされておらず、法的拘束力が弱かったことをみなさんはご存知でしょうか?

2020年に敷金・原状回復のルールが明文化

退去の際に支払う退去費用は、借主が貸主に預け入れた敷金から部屋を原状回復するルールをもとに支払われます。今までは、国土交通省のガイドラインや数々の判例によって、敷金・原状回復のルールが実質的に決められていました。

意外だと思われるかもしれませんが、敷金は不動産業界の古くからの慣習としてやりとりされていたため法的に明確な定義づけがされておらず、原状回復についても国土交通省のガイドラインがあるものの曖昧な点が多く、過去に幾度となく借主と貸主の間でトラブルが起きています。

そんな敷金と原状回復のルールが、改めて2020年より法律で明文化されることになりました。契約や金銭の支払いに関するルールを定めた民法の規定(債権法)を見直す改正法案が、衆議院本会議で可決(2017年4月14日)。参院本会議によっても賛成多数となり、この改正法案は成立しました(同年5月26日)。

民法が改正される日は2020年4月1日に決定され(同年12月15日)、いよいよ本格的なルール化に向けてスタートを切ったわけですね。債権や契約に関する分野の民法が大きく見直されるのは、約120年ぶりのこととなります。

2020年以降の敷金のルール

民法が改正により、敷金は以下のように定義づけられます。

いかなる名義をもってするかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。

出典:民法(債権関係)の改正に関する要綱案

預け入れられた敷金は退去費用に充当され、呼び名も「敷金」として統一されるようになります。関西などの一部地域で敷金を「保証金」として呼ばれていましたが、今後はそういった名称によるばらつきもなくなるわけですね。

敷金の定義が決まると同時に、敷金のルールとして「借主が部屋を適法に引き渡したとき、貸主(大家)は敷金を返還しなければならない。」ことも法律で明文化されます。

敷金のルールについては、以下のように明文化されます。

7 敷金
敷金について、次のような規律を設けるものとする。

(1) 賃貸人は、敷金(いかなる名義をもってするかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この7において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
ア 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
イ 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。

(2) 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。

出典:民法(債権関係)の改正に関する要綱案

2020年以降の原状回復のルール

原状回復については、以下のように明文化されます。

13 賃貸借終了後の収去義務及び原状回復義務(民法第616条・第598条関係)
民法第616条(同法第598条の準用)の規律を次のように改めるものとする。

(1) 第34の4(1)及び(2)の規定は、賃貸借について準用する。

(2) 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この(2)において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

出典:民法(債権関係)の改正に関する要綱案

今までも国土交通省のガイドラインで「借主と貸主の負担割合」については示されていました。上記のように、法律でも明文化されることで、実際に退去時に誰がどの部分を負担するのかについてのルールが確率したと言えるでしょう。

もちろん、実際に退去する際の内容については、これからも過去の判例から判断され、曖昧さがすべて払拭されるわけではありません。それでも、法律で明文化されることは大きな一歩と言えるでしょう。

明文化と同時に、不動産会社への説明義務の徹底化が期待される

敷金の定義・敷金の返還義務・原状回復費の負担割合等、今後は法律で内容が明確化されることで、トラブルは減少していくことと思います。

それと同時に、不動産会社もしっかりとお客様に退去時の説明をするよう、今後も抜け漏れのない仕事をしていかなければなりませんね。

法律で定められたからと言って、すぐにお客様に敷金や原状回復ルールの内容が理解されるわけではありません。専門家がお客様の目線に立って、丁寧に説明することがこれからも求められていくことでしょう。

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